PHONE APPLI Engineer blog

エンジニアブログ

マンダラートを使ったアイディア発想ワークショップをやってみた

はじめに

はじめまして、株式会社PHONE APPLI のたかはしとし( @doushiman_jp )です。

僕の所属するチームはテクノロジーリサーチ部と言いまして、プロジェクト開始の事前調査として、プロトタイプを作って効果を測定したり、いろいろな課題を見つけては、解決するための方法や、ソリューションを考えて提案・実装したりといったことをしています。

と、簡単に言ってしまいましたが、それがなかなか大変で、自分一人でウンウン考えても思考が煮詰まったり、開発者あるあるとして、自分の試してみたい技術や実装ありきで考えてしまって、元々の目的と乖離した結論に着地したりになりがちです。

集合知

そんな事態を避けるために、僕たちのチームは、それぞれが自分の思う課題やアイディアを持ち寄って、ああでもないこうでもないと、ブレスト形式でわいわいやりながら解決方法などを考えることにしています。

すると、一人ではとうてい出てこないような視点がひょこっと出てきたりするので、集合知すげえな、ってなります。

とは言え、自分も含めメンバー全員が他の仕事も持っていますから、あまり長い時間もできないし、漠然と進めても、だらっとしてしまい、なかなか結論までたどりつかないことがあります。

なので、独りよがりにならないように、他の人の意見ももらいつつ、効率的に課題解決のアイディアをもらうために、先人の教えに従ってフレームワークを使ってみよう! となりました。そこで、

→ 「マンダラート」っていうのがいいらしいぞ

やってみよう!

という流れになり、じゃあ僕がファシリテーターとしてマンダラートを体験してみよう! となりまして、この記事はそのワークショップのレポートになります。

マンダラートに興味がある方、アイディア創出に興味がある方の参考になれば幸いです。

マンダラートとは

最近ですと、メジャーリーガーの大谷翔平選手が「ドラフト1位8球団指名」という目標を達成するために、このマンダラートを使って課題を解決していった、という話が有名です。(高校生の頃から向上心の塊だったんですね。。。)

マンダラートの基本的な流れとしては、まず一番最初にマス目の中心に達成したいことや目標を書きます。(大谷選手はここに「ドラフト1位8球団指名」と書いています)

例としてですが、下図では解決したい課題として「最近眠れない」と書いています。

次に、そこから発想される事柄を、周囲のマスに8つ書き入れています。

次に、8つのマスのそれぞれを実現するためにはどうしたら良いかを考えます。

すると、1つの目標から8*8の解決法が、導き出されることになります。

マンダラートは、空白のマス目を見ると、人間どうしても埋めたくなってしまう心理を利用して、とにかくたくさんのアイディアを捻り出す、という特色を持つフレームワークと言われています。

ブレストの段階では、アイディアの質よりも量を求める、と言うのが定説ですのでブレストとしては、とても理に適った方法だと思います。

ワークショップの目的

今回マンダラートを使って達成したいことは

  • とにかく数多くのアイディアを出したい

  • 短時間でサクサク

のあたりなのですが、まずマンダラートを体験する上で、このワークショップでは若干のルール改定を行っています。

  • 1段回目のマス目は課題に対する「WHY」で埋める(オレンジ色)

  • 2段回目のマス目は「WHY」に対しての「HOW」で埋める(黄色)

図解するとこんな感じです。

本来であれば、1段回目は自由に思いついたことを書くのですが、あえて「WHY」を書いてもらうことで、「なぜこの課題は解決できないのか」「なぜこれは問題になってるんだっけ」という所を意識して「HOW」を考えてもらうようにしました。

こうすることで、「課題」→「なぜ」→「どうやって解決するか」がスムーズにつながることを期待しています。

あともう一点、ルールを変更したのは

  • マス目の数を8件→6件にする

という事です。

なぜマスの数を減らしたのかというと、今回30分でクロージングまで持っていくとファシリテーター(僕)が豪語したことと、みんな慣れていないし8件も埋められないかも…という僕の不安からでした。

ちなみにこの変更は後ほど後悔することになりました。

そんな変更を盛り込みつつ、今回はこんな感じの図形に落としこんで、ワークショップを実施しました。

アイディアの花が咲くようにと、花に見立ててみました。エモい!

やり方

今回はmiroというツールを使って実施しました。

miroは「共有できるホワイトボード」のようなツールです。

弊社はコロナ禍ということもあり、ほとんどの社員がテレワークなのですが、そんな状況でもリアルタイムで書き込みや変更を共有できるmiroはもってこいのツールでした。

今回は予め、さきほどの図をmiro上に作っておき、ヨーイドンでメンバーにはどんどん書き込んでいってもらうことで進んでいきます。

WHYを考える

最初に、ファシリテーターは参加者に、WHYゾーンを埋めてもらうように促します。

あ、ちなみに、今回のワークショップのお題は「運動不足が解消できない」にしています。

制限時間は3分としていたのですが、メンバーの皆さんはガンガン書き込んでいき、制限時間を待つまでもなく、全て埋まってしまいました。

これで、課題に対して、それがなぜ課題なのか、なぜ解消できないのか、が6つ浮き彫りになってきました。

次に、この課題をどうやって解決するのかを考えていきます。

HOWを考える

WHYから接続された先で、HOW=どうやったら解決できるかを書いていきます。

こちらもHOWを全て埋めるのに3分という時間を設定しました。

6つのWHYがあるので6*3分で18分程度の作業時間を想定しています。

ファシリテーターは常にこの時間を意識して、残り時間をカウントダウンしたり、参加者に発破をかけたり、泣いて情に訴えたりして(?)とにかくマス目を埋めてもらいます。

ちなみに、なぜ花弁に当たる部分の色が変わっているのかなのですが、僕はここで、類似の意見があった場合、同じ色に揃えたりしていました。

他のWHYにつながっているHOWなのに、同じ結論に至っている場合もあり、その場合も同じ色に統一しています。

同じ課題で、違うWHYから発生したHOWが同じ結論であるということはそれが根本解決につながっている可能性があるので、それを強調してあとでまとめやすくする意図があります。

そうこうしているうちに全てのHOWが埋まっていきます。

ここまで行くと、1個の課題から派生して、6つのWHY(なぜそれが課題なのか)と36のHOW(どうやって解決するのか)が揃うことになります。

この後、更にこれらのHOWを深掘りをして、課題解決を探っていくことになるのですが、マンダラートを行うと、(今回のやり方で)わずか30分足らずで自分以外の視点からの提案が、めちゃめちゃ集まります。

これはアイディア創出のネタの宝庫だと思いませんか?

投票してもらう

最後に、参加者の方に、これはクリティカルな解決法である、とか単純に面白い!とか、自分に刺さった解決方法に、miro上でスタンプを貼って投票してもらいます。

参加者としてはいいね!的な意味合いもありますし、ファシリテーターとしてもたくさんのスタンプが貼られる=多くの人に支持される解決である、という客観的な視点も同時に得ることができます。

ちなみにこんな感じで、花にてんとう虫が止まっているイメージでスタンプを貼ってもらいました。

最終系

最終的に、今回のマンダラートはこんな感じになりました。

カラフル!!

そこから、それぞれのHOWで近しいものを

こんな感じでカテゴライズしたりして、解決法を深掘りしていきます。

見た目にもカラフルで楽しいし、どんどんマス目が埋まっていく様は見ていて気持ちがいいです。

最後に

ちなみに先ほど、8マスを6マスに減らしたことを後悔した、と書きましたが、なぜかと言うと6マスだとあっという間に埋まってしまい、参加者が時間を持て余す、ということが起こったからです。

マス目が空いていると埋めたくて仕方なくなるという心理と、時間制限で追い込まれたときの発想の瞬発力みたいなものは侮れない…と思いました。これがマンダラパワー! なのかも。

なので、僕たちはその後、業務でマンダラートを使う時は、マンダラート本来の8マスの図を使って実施しています。

参加人数にもよりますが、これくらいがやはりちょうど良いかもしれません。

さて、今回はマンダラートワークショップの模様をお届けしましたが、この記事をご覧の皆様いかがでしょうか。

実際の課題解決まで導き出すには、ここから更なる分析や深掘りが必要なのですが、それはまた違う機会にご紹介できればと思います。

みなさんも発想が煮詰まったりした時にはマンダラート、使ってみてください!!


PHONE APPLIについて

phoneappli.net
phoneappli.net